レディースクリニックで、不妊治療にあわせて使われるサプリメントとして、「イノシトール」が使われることがあります。
東京・品川区にある「はなおかレディースクリニック」では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊症の方へのサプリメントとしてHPに紹介しています。
一般的に、イノシトールには、次のような健康効果があると言われています。
- 動脈硬化や脂肪肝などの生活習慣病を予防する
- 神経機能を正常に保つ
- 毛髪の健康を維持する
イノシトールが不妊治療のサプリメントとして使われる理由は、イノシトールにインスリン抵抗性が改善する働きがあるからです。
インスリン抵抗性によって男性ホルモンが増加
インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のこと。
そのため、膵臓からインスリンが分泌されても、肝臓や筋肉がブドウ糖を吸収しないため、血糖値が下がらなくなってしまいます。
<インスリン抵抗性による男性ホルモン増加のメカニズム>
①糖の大量摂取によって、インスリンの分泌が増える。
⇒常にインスリンがある状態(高インスリン血症)になる。
②細胞のインスリンに対する反応が低下するため、通常のインスリン量では糖をコントロールできなくなる。⇒インスリン抵抗性
③「高インスリン血症」が、IGF-1(インスリン様成長因子)を介して、黄体形成ホルモン(LH)の感受性を高める。
⇒多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のように、LHレベルが高い人の場合、LHが本来持っている「男性ホルモン(アンドロゲン)の産生亢進」作用がより強く出る。
参考資料:笠岡レディースクリニックHP「インスリン抵抗性とは」
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
多嚢胞性卵巣症候群は、Polycystic Ovarian Syndrome の頭文字をとって、PCOSと呼ばれています。
卵巣で男性ホルモンがたくさん作られることで排卵がしにくくなる疾患で、若い女性に多くみられ、女性の20~30人に1人の割合で見られるようです。
インスリン抵抗性により、結果的にアンドロゲン濃度が上昇するため、卵胞発育抑制や卵質低下につながる可能性があります。
このことが、PCOSにおける難治性の排卵障害や流産率の上昇に関与していると考えられているようです。
イノシトールの効果と摂取目安量
はなおかレディースクリニックHPの記事「Inositolの不妊治療における効果」によれば、欧米では、イノシトールのインスリン抵抗性改善効果がPCOSの不妊治療に積極的に使用され、臨床発表されているようです。
同記事では、イノシトールの服用量について、次のように説明しています。
この服用量は、同クリニックが不妊治療のためのサプリメントとして飲用するときの目安です。
健康な人の場合、イノシトールの摂取目安量は、1日500~2,000mgとしていますが、肝機能が高い方や血糖値が高めの方、PCOSの方は特に不足しがちのようです。
カフェインを多く摂る人も、イノシトールが不足気味の可能性があるとのこと。
イノシトールは、体内での合成量が少ないので、玄米や小麦胚芽などの穀類やオレンジやグレープフルーツ、マスクメロンなどの果物、不足しがちであればサプリメントで補うことが必要です。
イノシトールの摂取については、別のクリニックでも、不妊の原因のひとつである多のう胞性卵巣症候群や胎児の神経管欠損症の予防にも効果があるとして、妊娠を希望されている方、妊婦さんは不足のないように補いたいと説明しています。
イノシトールは水溶性であるため、過剰に摂取しても尿として排出されるので、副作用の心配はないとされています。
しかし、まれにめまいや頭痛、吐き気などの症状が出ることもあるようですので、この場合は医師へ相談されることをおすすめします。
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