不妊治療が保険適用になったとしても、不妊治療を遅らることは大きなリスクがともないます。
35歳を過ぎると、妊娠確率が若い妊婦さんと比べて急激に低くなりますが、それだけでなく流産の確率も高くなります。さらに心配なのが、ダウン症などの胎児の先天性障害の発生率も上がることです。
35歳を過ぎると、さまざまな要因が重なることで、健康な赤ちゃんを産むことがとても難しくなることがわかります。
40歳過ぎた女性の初産で、元気な赤ちゃんが誕生したニュースを目にすると、子供をつくることがとても簡単なことのように思われますが、実は奇跡に近いことなのです。
高齢出産ではダウン症などトリソミーの確率が上昇
トリソミーは、ダウン症候群やパトー症候群など、胎児の先天性疾患の原因になる染色体異常のことです。
ヒトの染色体は、2本で1対になったものが23種類あって、染色体の合計本数は46本あるのが正常です。しかし、23種類のうちいずれかの染色体が1本多くなった状態をトリソミーといいます。
このトリソミーが起きる確率は、高齢になるほど高くなり、日経DUALの記事では、専門医が次のような説明をしています。
21トリソミー(ダウン症候群)の場合、約8割が流産、約2割は出産に至ります。ダウン症児の出生率は、母体が30歳で700分の1、40歳では80分の1といわれており・・・
引用:日経DUAL「40歳受精卵の8割に異常 出生前診断の精度は?」
高齢出産になると、21トリソミー(ダウン症候群)などの胎児の先天性疾患の確率がとても高くなります。
トリソミーの多くは流産になるけれど・・・
トリソミーが起きる確率は、どの染色体にもありますが、妊娠中の胎児で心配されるのは、おもに次の3つです。
- 13トリソミー(パト―症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 21トリソミー(ダウン症候群)
よく知られているダウン症候群では、35歳を境に出生頻度が高くなることがわかっています。
21トリソミー(ダウン症候群)の場合、全体では800~1000人に1人、25歳では1200人に1人、40歳では100人に1人とも言われます。
さらに、染色体異常であるトリソミーは、流産の原因の半数になると言われ、21トリソミー(ダウン症候群)では、約8割が流産、約2割は出産に至ると言われます。
この数字を見ると、妊活は若いほど安心できることがわかります。
「トリソミー」は減数分裂のときに起きる
ヒトの染色体は、下図のとおり常染色体22種類(1~22)と性染色体(X、Y)を合わせて23種類あります。
※引用:NIPT「平石クリニック」HP
13番の染色体が1本多く3本であれば、13ソリトミー(パトー症候群)、18番なら18トリソミー(エドワーズ症候群)、21番なら21トリソミー(ダウン症候群)ということになります。
なお、性染色体(X、Y)のトリソミーでは、常染色体のような流産の原因にはならず、症状も軽度で日常生活では気づかないケースもあるようです。
NIPT(新型出生前診断)でわかるトリソミー
NIPT(新型出生前診断)では、妊婦さんの血液を少量採取するだけで、妊婦さんに負担をかけずに、胎児のトリソミーについて検査することができます。
たとえば、NIPT(新型出生前診断)の検査結果で、21番染色体が「陽性」であれば、21トリソミー(ダウン症候群)可能性が高くなります。こちらが、そのイメージです。
※引用:NIPT「平石クリニック」HP
ただし、NIPTは確定検査ではないので、21トリソミーを確定するためには、羊水検査などの確定検査をおこなう必要があります。
羊水検査は、妊婦さんの羊水を直接採取するために局所麻酔をおこなうため、麻酔時や採取時の痛みは少ないようですが、流産の確率が高くなるなどリスクを伴います。
NIPT(新型出生前診断)は確定検査ではありませんが、「陰性」となった場合の的中率は、99.9%だそうですから、かなり精度が高いと考えてよさそうです。
こちらが、NIPT平石クリニックHPでの、NIPT(新型出生前診断)の的中率です。
※引用:NIPT「平石クリニック」HP
まとめ
35歳以上の女性にとって、妊娠そのものが難しいだけでなく、妊娠できたとしても流産やトリソミーのリスクが高くなります。
不妊治療の平均年齢は 31.3歳と言われますが、年齢が若いほど卵子や精子の状態が良いことを考えれば、できるだけ若いときに子供をつくるべきでしょう。
不妊治療が保険適用になったとしても、トリソミーによって流産や胎児の先天性疾患のリスクが高くなるのでは、かえって不安が増すことになります。
不足しがちな栄養素をしっかり補いながら、タバコやお酒など普段の生活習慣に気をつけ、早めに妊活をはじめることをおすすめします。
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