妊娠中の女性は、便秘になりやすいですが、その理由の一つとして、女性ホルモンの働きがあります。
黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌量が、妊娠中に増えることがその原因ですが、もともと妊娠中にかぎらず便秘になりやすいのが女性の身体です。
便秘を防ぐ生活スタイルや食事など、試していただきたい5つの方法について説明しますが、まずは妊娠中の便秘の特性について知ることが便秘解消の近道です。
妊娠中に便秘がちになるのはナゼ?対策は?
妊娠中は、黄体ホルモンといわれるプロゲステロンの分泌量が増えるため、便秘になりやすいと言われています。
プロゲステロンは、女性の月経周期に関連する4つのホルモンの1種で、増殖期(卵胞期)、排卵期、分泌期(黄体期)、月経期に合わせておおきく変化します。
じつは、女性ホルモンであるプロゲステロンの働きそのものが、便秘になりやすい原因をつくっています。
黄体ホルモン・プロゲステロンの働き
プロゲステロンは、卵巣にできる黄体から分泌され、子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整えるために、体温を上昇させるなど、さまざまな働きがあります。
このプロゲステロンの働きをまとめると、以下のようになりますが、この中に便秘になりやすいヒントがあります。
- 厚くなった子宮内膜を柔らかく維持して、妊娠しやすい環境をととのえます。
- 体内に水分や栄養素を蓄え、乳腺を刺激して発達を促します。
- 体温を上昇させる働きがあります。
- 食欲を増進させる働きがあります。
プロゲステロンの体内に水分を蓄える働きによって、腸内の水分が不足することで便が固くなり便秘がちになります。
赤ちゃんが育ちやすい子宮環境を整えるのがプロゲステロンの役割ですが、妊娠しなければ黄体は衰退し、分泌量が低下します。
月経前に身体がむくみやすく乳房に痛みを感じる場合があるのはこのためです。このほかに、イライラや集中力の低下を引き起こすこともあります。主にプロゲステロンの影響で起こるこれらの症状は、月経前症候群(PMS)と呼ばれています。
腹筋の筋肉量の低下
妊娠中は、つわりで気分が悪くなったり、お腹が大きくなり動きづらくなったりするため、運動不足になりがちです。
女性は男性と比べ腹筋が弱いですが、運動不足によってさらに腹筋が落ちると、便を排出する力が弱まるため、便秘にななりやすくなるのです。
大腸の圧迫
妊娠週数が進むと、子宮が大きくなって大腸を圧迫します。
大腸が圧迫されることで、腸の動きが悪くなるため、便秘になりやすくなります。
妊娠中の便秘を解消するために試したい5つの方法
女性ホルモンや胎児の成長など、妊娠中特有の原因による便秘は、生活スタイルや食事を工夫することで症状を和らげることができます。
便秘を解消するために、ぜひ試していただきたい5つの方法を紹介します。
1.水分をこまめに摂る
妊娠中は、黄体ホルモンのプロゲステロンの働きによって、体内に水分が吸収されため、腸内の水分が不足しがちになます。
水分が不足すると便が固くなるので、身体を冷やさないように注意しながら、1日1.5~2Lをこまめに摂取します。
2.乳酸菌やオリゴ糖を摂取する
乳酸菌には腸内環境を整える働きがあり、オリゴ糖は善玉菌を助けて腸内環境を整えます。
妊娠中は、腸のはたらきが鈍くなりやすいので、乳酸菌やオリゴ糖は継続的に摂取したい栄養素です。
3.食物繊維の多い食品を摂る
食物繊維は、便量を増大させ、排便リズムを回復させると言われ、便秘を改善するために欠かすことができない栄養素です。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんにも栄養をとられますから、必要な栄養素をしっかり摂る必要があります。
海藻類は食物繊維が豊富な食材ですが、妊娠中はヨードの摂りすぎに注意が必要です。
大麦は食物繊維が豊富な食材で、美味しいグラノーラが開発されています。大麦の食物繊維の量は、なんと白米の17倍、サツマイモの4倍だそうです。
妊娠中には食欲が衰えますが、美味しいグラノーラなら続けられそうです。
4.適度な運動をする
散歩やストレッチなどの軽い運動を続けることは、便を押し出すのに大事な役割をはたす腹筋の維持に役立ちます。
さらに、リラックスしながらストレッチをすることで、副交感神経が優位になって、大腸の働きが活発になるようです。
ただし、妊娠中は、無理ない程度におこなうのがポイントです。
5.お腹をマッサージする
お腹をマッサージして、腸の動きを助けることは、便秘を解消するために効果的です。
大腸に沿って「の」の字を描くようにマッサージしますが、妊娠中は強く抑えすぎないように注意が必要です。
便秘薬について
妊娠中に薬を飲むことに不安を感じる方も多いと思います。
しかし、便秘薬の中には、酸化マグネシウム系のように直接腸を刺激せず、便に水分を与えて柔らかくすることで出しやすくする非刺激性のものがあります。
妊婦さんへ処方されることもありますが、マグネシウムの血中濃度が高くなってしまうため、高齢者や腎臓病の人では注意が必要のようです。
便秘薬の服用については、できれば自己判断をせず、医師などの専門家に相談したほうがいいでしょう。
まとめ
女性の2人に1人は、便秘だと言われていますが、妊娠中にはその症状がさらに重くなります。
妊産婦さんは、お腹の赤ちゃんに栄養を摂られますから、普段の食生活では、必要な栄養素が不足しがちです。
そのため、厚生労働省も、不足しがちな栄養素の摂取をサプリメントで補うことを推奨しています。
妊活中あるいは妊娠中のために、葉酸を主として配合したサプリメントが推奨されますが、最近では他の栄養素を考えあわせたものが開発されています。
便やお肌の状態など、ご自身の体調に合った成分を配合したサプリメントを見つけるのも、妊活サプリの選び方のポイントです。
コメント