卵子が老化することを知っている女性は、あまり多くはないようです。
排卵があれば妊娠できると考えている女性もいますが、これは間違い!元気な赤ちゃんを産むためには、若いほうが安心できる確率が高いことは間違いありません。
その理由の一つが、卵子の老化です。
卵子の老化は、高齢になるほど妊娠確率が低下したり、胎児の先天性疾患の発生率が高くなることと無関係ではないからです。
学術論文の情報サイト「J-STAGE」には、「「卵子の老化」説から考える年をとることへの恐れと生殖医療技術の拡大の関係」との論文が掲載されています。
むずかしいタイトルですが、この中で”卵子の老化”の影響について、つぎのようにまとめています。
- 自然妊娠でも、生殖補助医療を用いても、出産に至る割合が低下する
- 流産しやすくなる
- 染色体異常の発生率が高くなる など
すべての卵子は胎児のときにつくられる
卵子は、思春期になり、生理がはじまってから女性の体内でつくられるわけではありません。
妊娠20週ごろの胎児の卵巣には、すでに6,7百万個の卵母細胞があると言われます。こんなにたくさんの卵母細胞があるのに、なぜ、50歳ぐらいで閉経?
卵母細胞は、卵子の元になる細胞ですが、赤ちゃんとして生まれるときには、その数は1百万~2百万まで減少すると言われます。
この現象をアポトーシスと言い、個体をよりよい状態に保つために細胞が自然に死んでいくプログラムによって起こります。
思春期になると、卵母細胞は20万~30万個ていどまで減少し、さらに閉経期に1,000個ぐらいになりますが、これもアポトーシスによるものだそうです。
卵母細胞から卵子形成へ
卵母細胞が卵子となって排卵されるまでの過程は、前述「J-STAGE」論文では、以下のように説明されています。
ここで「2次減数分裂」とありますが、じつは減数分裂の途中で停止しています。2次減数分裂が完了するのは、精子の侵入によって細胞周期が再開してからになります。つまり、この図での「2次減数分裂」は完了していません。
最後の過程で、卵子は2~3層の卵胞細胞に包まれたまま「排卵」され、卵管に達します。
精子の受精刺激によって2次減数分裂を完了して卵子になり、受精が成立すれば受精卵となります。
以上のことから、「卵子の老化」とは、ほとんどの場合、卵母細胞についてのことと考えていいようです。
なぜ卵子は老化する?
浅田レディースクリニックの説明によれば、卵子の老化はお母さんの体を守るための大事な仕組みだそうです。
ちょっと乱暴かもしれませんが、卵子の老化を工場が古くなることに例えて、つぎのように説明しています。とてもわかりやすい例えなので、引用させていただきました。
女性が年をとるということは、つまり、生殖に関して大きな役割を担う卵子という工場が古くなるということでもあります。
引用:浅田レデイ―スクリニック「卵子が加齢するのは命を守る仕組み」
工場の設備が古くなると、不良品をつくる率がだんだんと高くなりますが、卵子がつくられる過程でも、遺伝子の発現、染色体の分離がうまくいかなくなります。これが、卵子の老化です。
ひどい例えと思うかもしれませんが、これはお母さんの体を守る非常に大事な仕組みだそうです。
今でこそ病気であったり、出産できる状態じゃないと思ったら簡単に手術できますが、手術もできない時代に高齢で妊娠・出産することは命の危険に関わります。
つまり、卵子の老化によって、妊娠・出産しにくくなることは、お母さんの命を守るためにできた大事な体の仕組みだと説明しています。
高齢になってからの妊娠は、異常な細胞の割合が高くなり、妊娠率は低く、流産率は高くなるだけでなく、染色体異常であるトリソミーにより、胎児のダウン症などの発症率も高くなります。

医療技術の進歩により、妊婦さんの体を守ることができるようになりましたが、残念ながら、流産やトリソミーによる胎児の先天性疾患の発症率が高くなることは昔も今も変わりません。

生活習慣によっても卵子は老化する
「卵子の老化」によって妊娠しにくくなる、あるいは流産しやすくなることは、残念ながら女性の体を守るための自然の仕組みなのかもしれません。
しかし、日常の生活習慣や食事なども、卵子の老化に深く関係していることがわかってきました。
卵子を老化させる大きな原因に、活性酸素によって生み出される「酸化ストレス」があると言われます。活性酸素は、体の免疫機能としての大事な役割がありますが、増え過ぎると「酸化ストレス」に。
この酸化ストレスの原因になると言われているものとして、以下のような生活習慣があげられます。
- タバコ・お酒
- 睡眠不足
- 運動不足
- 精神的ストレス
- 紫外線や放射線
このほか、肥満や痩せすぎも、卵子の老化に関係すると言われています。
卵子の老化を遅らせるには
加齢による卵子の老化は避けられませんが、生活習慣を改善することで、「酸化ストレス」を減らすことはできそうです。
精神的ストレスや睡眠不足については、簡単に解決できないかもしれませんが、趣味や適度な運動によって心身のバランスを整えることで、体のリズムを少しづつ取り戻すことができます。
また、野菜や果物などの抗酸化作用のある食品を摂ることも効果的です。
抗酸化作用のある成分としては、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類などがありますから、日ごろからこれらの成分が多い食品を摂るように心がけるのがポイントです。
妊活中の女性や妊婦さんにとって不足しがちな栄養素は、サプリメントで補うことも効果的です。

卵子の老化がどの程度すすんでいるかは、自分ではわかりませんから、意識しないと日常の生活習慣や食生活を変えることは難しいかもしれません。
タバコやお酒はその代表格ですが、元気な赤ちゃんを産みたいと本気で考えるなら、止めることをおすすめします。
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